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2020/10/20
教えて資源リサイクル! Vol.1

「産業廃棄物」「資源リサイクル」などの言葉は聞いたことがあっても、具体的にどんなものを指すのか、実際にどんな仕事をしているのか分からないことも多いこの業界。
今回は仕事について色んなことに興味津々の当社フレッシュ社員Nさんが、資源リサイクルを知り尽くしたプロフェッショナル社員Fさんに様々な疑問をぶつけてみました。

~自然を守り、限られた資源を大切にするのがリサイクル~

左:Nさん  右:Fさん

N:鈴木商会は産業廃棄物をリサイクルしてますよね? そもそも産業廃棄物とはどんなものを指すのでしょうか?

F:産業、つまり会社などの活動から出てくる「いらなくなったもの」のことですね。ちなみに、家庭から出るいらなくなったもののことは「一般廃棄物」と呼びます。

N:なぜ廃棄物をリサイクルしているのですか?廃棄物は埋めてしまうのが一番簡単であるように思いますが、それは良くないのですよね?

F:埋めてしまうのは確かに簡単ですが、狭い日本の国土ではこれまでに埋めてしまった土地はすでにたくさんあり、そもそも埋めるための土地が無くなってきています。
また、一度埋めてしまったものはもう自然に戻らないものもあり、埋め立てる前に「まだ使えるものはできる限り使う」を前提にすることが大切です。そのために、まだ使える資源をきちんと分けて集めて、製鋼メーカーなどに適正な状態でお渡しする、といった私たちの仕事が必要になります。
さらに、埋めることで廃棄物に含まれる有害な物質が土中に染み出し、環境に悪影響を与える可能性もあります。それを防ぐためにも廃棄物を適正に処理し、リサイクルする必要があります。

N:100年先1000年先の長期的な視点でも、埋め立て地を増やさないなど環境に負荷をかけないことは大切なのですね。

F:長期的な視点もですが、現状は10年先のことを考えてできることを行っていかなければならないぐらいの状況だと思っていいでしょう。

N:ほかにも資源をリサイクルする必然性というか、理由があるのでしょうか?

F:資源というものはそもそも限りがあるので、例えば鉄を作るための鉄鉱石は2度と新しく作られることはありません。更に日本はもともと資源を持っている国ではないので、外国からの資源輸入がなければ何も作ることができません。そのため、ほぼ輸入によって得た限られた資源を、繰り返し大切に使うことが必要です。

N:日本ならではということですね。

F:そういったこともあり、日本は質の高いリサイクルを生み出すことが得意です。ごちゃ混ぜになったものをきちんと細かく選別してリサイクルを行うことで、さらに何十年も使うことのできる資源を生み出せるのは、世界でも有数の質の高い技術力があるからこそと言えます。

~国内や北海道の廃棄物事情~

N:国内や北海道における産業廃棄物の排出量って増えてますか?減ってますか?

F:平成29年頃の国内規模が年間で約3.8億トン。北海道だと年間約4000万トンで、どちらも排出規模はここ数年で横ばい傾向が続いています。

N:人口減少などが進む中で、規模が減らずに横ばいになっている理由は何でしょうか?

F:まだまだ日本では経済活動における「ムダ」が多いというのが挙げられます。例えば商品を購入した際の過剰包装。これは日本ならではの「リスク回避」の特徴が関係しているように思います。今となっては有料化が進んでいるレジ袋も、もとは万引き対策として採用するようになったとも言われており、これもいわば「リスク回避」の産物です。
あとは大きなイベントの有無なども廃棄物の排出量には影響してきます。

N:北海道ならではの産業廃棄物の特徴などはあるのでしょうか?

F:北海道で最も排出される廃棄物は「汚泥」。2番目に多いのは「家畜の糞尿」です。家畜の糞尿が多いのは酪農畜産が盛んな北海道ならではの特徴で、全国で見ても北海道が排出量第1位です。また家畜の糞尿は肥料等への再利用が可能な「リサイクルの優等生」でもあります。
汚泥は工場排水の処理など経済活動の過程や、一般生活のいわゆる下水処理工程を経て出る泥状のもので、これは全国どの地域でも最も多く輩出される廃棄物です。

N:北海道という土地柄、自動車関連の廃棄物が多いイメージを持っていました。

F:自動車に関しては、全体に占める割合は数%程度です。廃棄物という観点で見ると、重量がそれほど重くないんですね。
また北海道は農業が盛んなので、他の地域と比べると農機具などが資源リサイクルとして処理される扱い量が多いです。

~適正に廃棄物を処理するために、私たちがおこなっていること~

N:鈴木商会でリサイクルしている資源にはどのようなものがあって、どのように処理をしているのでしょうか?

F:大きく分けると金属とプラスチックがあります。資源を選別するためには、まず大型の破砕機(シュレッダー)に産廃を投入し、破砕して細かくします。
これを鉄、銅やアルミなど鉄ではない金属(非鉄金属)、プラスチック、と資源ごとに分けて、鉄と非鉄金属はそれぞれ製鋼メーカーや精錬所に送ります。そこで溶解され、再び鉄や銅などとして使用されます。プラスチックについては、セメントメーカーに燃料として送っています。
金属の中でもアルミについては苫小牧に自社の精錬所があるので、集めたアルミを高温度で溶解して、アルミインゴッドというアルミの延べ棒のような形状に加工して、道内にある自動車メーカーに出荷しています。

N:金属は溶かしてリサイクル、ということですね。他にもリサイクルの方法はあるのですか?

F:リサイクルは大きく分けると、廃棄物を燃やしてその熱を利用する「サーマルリサイクル」と、素材から同じ素材にリサイクルする「マテリアルリサイクル」があります。当社でおこなっているのは「マテリアルリサイクル」のほうですね。
他にもプラスチックに薬剤を使って化学反応で分解し石油にするなどの「ケミカルリサイクル」というのもありますが、北海道は寒いので冬場だと油が凍ってしまうこともあり、ケミカルリサイクルはあまり行われません。

N:なるほど!地域によってもリサイクルの特性があるんですね。

N:鈴木商会で処理している産業廃棄物の量は、どれくらいなのでしょうか?

F:直近の1年間だと約3万4千トンを処理しています。ここ数年で若干ですが処理量は増えていますね。原因としては、プラスチック類を中国に送れなくなりリサイクルできなくなったため、当社のような中間処理をおこなう会社に流れてきていることなどが挙げられます。

N:鈴木商会は、廃棄物が資源になるためにどのような流れで事業をしているのでしょうか?

F:金属スクラップを扱っている業者さんとの取引や、産廃を廃棄されるお客様と直接お取引するかたちなどで廃棄物を集めます。
そうして集められた廃棄物をギロチンシャーという刃物のような切断機で決められた大きさに切ったり、シュレッダーという破砕機を使って細かく小さくして分別できるようにしていきます。
その後は先ほど言った通り、素材ごとに精錬所などに送り、再び資源として活用されます。

N:鈴木商会は産業廃棄物だけではなく、家電のリサイクルもおこなっていますよね?

F:鈴木商会では家電メーカーに委託されて家電4品目(テレビ/冷蔵庫/洗濯機/エアコン) のリサイクルを行っています。このような企業は北海道に2社しか無く、道内で発生する廃家電のおよそ半分をリサイクルしています。
法律では家電メーカーに対して決められたリサイクル率をクリアすることや、環境に有害な部分の処理に関して国が認めた方法で無害化することなどを求めています。当社の実績はそのまま家電メーカーの実績の一部になるので、メーカーの指導を受けながら法律やガイドラインをクリアしています。

N:産業廃棄物でも家電でも、いらなくなったものを適正処理するということは本当に大切なんですね。

~座談会を終えて~

N:リサイクルは大切だとなんとなく思っていましたが、資源もなく国土も狭い日本で資源リサイクルが担う役割がどれだけ重要なのか実感しました。
北海道にある会社だからこそ、この北海道の豊かな自然を守っていきたいと思います。
次は実際の資源リサイクルの現場をぜひ見てみたいです!